おい、おまえ、小南って言ったか」<br>ふと、眼前の男が口を開く。 名を呼ばれ、小南は片眉をつり上げた。 視線を上目に流し、息を吐く。<br>「そうだけど、なにか」<br>「おまえ、迅より強いのか?」<br>「さあ。 それはあんたがいまから自分で判断することね」<br>肩を竦め、手にした弧月の刃を太刀川へと向ける。 すると彼は目を見開き、くは、と楽しげな笑みを浮かべた。 くつくつと笑い声を上げる。 その笑い方がどこか迅に似ていると思った。<br>「ああ、それが一番いい」<br>独り言のように、小さな呟きが洩れる。<br>刹那、彼を纏う空気が変わる。 太刀川は大きく跳躍すると、右手に構えた弧月を小南の眼窩に突き落とした。 彼女はすぐさま背後に飛び退き、既の所で刃を躱す。<br>崩した体勢を整えようと構えを直すと、息も吐く間もなく太刀川の次の一手が繰り出される。 白刃の軌線が小南の鼻先を掠め、ぱらりと前髪が切れて落ちていく。 太刀川の貌に笑みが浮かぶ。 小南が彼の攻撃を避けたことに対する笑みなのか、あるいは彼女に先手の攻撃を与えたことによるよろこびなのか、判然としない。 だが、確実に言えるのは、彼は間違いなく小南との対戦を楽しんでいた。
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