「父が健在だったらな。 だが、いまは私が国を護らねば」<br>「...... すまんな。 苦労をかけて」<br>「なんの。 だから...... エルルの言ったとおり、ゲルラももう......」<br>「ああ。 "残る時間"は好きにやらせてもらう」<br><br>ゲルラは立ち上がり、言った。<br><br>「王よ。 兄上よ。 ガルラよ。 暇をいただく」<br>「っ!? ゲルラ!」<br>「最後の我が儘だ。 ...... いや、最初から最後まで我が儘言いっぱなしだったな。 それももうこれで最後だ。 あとのことをすべて任せることになってすまないが......」<br>「.........」<br><br>ガルラ王はゲルラの目を見てなにも言えなくなった。 その目は覚悟を決めきってしまっているものの目だったからだ。<br><br>「...... 行くのだな、ゲルラ」<br>「ああ。 この命に代えても、この国に最良の結果を導くつもりだ」<br>「そうか......」<br><br>二人はしばし無言で見つめ合うと頷き合った。<br><br>「さらばだ、兄上」<br>「さらばだ、弟よ」<br><br>最後に言葉を交わし、ガルラ王は去りゆくゲルラの背中を見送るのだった。
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