見た目は奇ッ怪そのものだが、味は悪くない。<br>否、寧ろ旨いと言って差し支えない出来栄えであろう。<br>「ど、どうかな?特製ビビビのビビンパ。 」<br>「... なんだよそのネーミング。 」<br>間抜け極まりない上に食欲をそそるとは思えないその名前に、黒崎一護は反射的に突っ込む。 だが、突っ込まれた本人は自信満々に<br>「この甘辛ゼリーを崩したのとオクラのトッピングがビビっとくる感じなんだよ!」<br>などと言っている。 その癖、味を聞いてくる時は<br>「で、その... どう... かな?」<br>などと大きな瞳をこちらに向けて、ハラハラと心配そうな表情で眉根を寄せてくる。 味とネーミング、自信を持つ部分が明らかに逆だろうと一護は思うのだが、とりあえず<br>「旨いよ。 俺結構好きな味だぜ、これ。 」<br>と言って安心させてやる事にした。<br>一護がそう言うと、「特製ビビビのビビンパ」を作成した彼女――井上織姫は、まるで春が来て一気に開いた花のように、ぱあっと笑顔を咲かせた。<br>「ほ、ほんとう!?」<br>その顔が何とも愛らしく、思わず一護は見惚れながら、<br>「お... おう。 」<br>などと生返事をしてしまう。<br><br>自分のちょっとした言葉や仕草で織姫の表情が猫のようにくるくると変わると気づいたのは、告白されて少し経ってからの事だ。<br>『く、く、黒崎くんが、す、す、好きなんでござるよ実は!』<br>『ご、ござる!?』<br>いつものぽやんとした表情とは違い、顔を真っ赤にして間抜けなセリフを叫んでいた織姫。 彼女のその必死の告白を聞いたのは、一カ月ほど前のことだった。<br>告白された時、一護は大いに驚いた。 織姫に対して申し訳ないことだが「仲間」という以外の特別な意識は持っていなかったのだ。 クラスメイト、幼馴染の共通の友達、そして一緒に戦った仲間。 勿論信頼は置けるし、仲間として命を掛ける価値のあるものだと思っている。 だが、淡白な性格故か、恋愛感情というものには結びつかなかった。 ...
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