ハーシェリクは七歳となった。<br> 七歳となったこの年が、グレイシス王国第七王子ハーシェリクが表舞台へと立った年だと後の歴史学者たちは言う。<br><br>この頃より彼がよく口ずさんでいた歌詞の無い歌は、吟遊詩人を通じグレイシス王国だけでなく全世界に広まった。<br> 歌詞のない歌は、皆が好きな歌詞を作り、曲に合わせて歌う。 農民が畑を耕す歌、母が子に歌う子守唄、愛しい者へと謳う恋歌...... ただの一曲としてその曲に悲しい歌詞はなかった。 人々はその曲を『希望の賛歌』と名付け歌い語り継いだ。<br><br>またその年はハーシェリクが一番に信を置いたと言われる三人の腹心達が揃った年でもあった。<br><br>主君の全ての敵を全て切り裂く最強の剣である『黄昏の騎士』オランジュ<br> 主の危険を全て排除し情報さえも操り守る万能の盾『影牙の執事』シュヴァルツ<br> そして魔力のない彼を支える最高の杖『白虹の魔法士』ヴァイス<br><br>彼らはハーシェリクの英雄譚において、欠かせない登場人物たちである。<br><br>『白虹ビャッコウ』とはヴァイスが絶大な魔力で魔法を行使する時、その純白の髪が美しく虹のように輝くことから名づけられたが、そう呼び出したのは主であるハーシェリクであるという説が有力だ。<br> 人外染みた力を持つ彼をそう呼ぶことにより、彼が人々に恐れられず『白虹の魔法士』として受け入れられるようにと思ったのでは、と後の歴史学者は考察する。<br><br>彼は新しい魔法や魔法具を多く生み出し、この時代の魔法を発展させ、多くの人々を助けたことから主が画策した通り『白虹の魔法士』として多く受け入れられ、またその功績から『白虹の賢者』とも呼ばれた。<br><br>そんな彼はいつまでも若々しい姿をしていたと数々の文献が残されている。<br> ハーシェリクが没した後『白虹の賢者』は存在を消したかのようにいなくなったが、時折虹の髪を持つ魔神が人々を救済したという伝説が各地に残された。<br><br>それがかつての『白虹の賢者』と同一人物だと知る者は誰もいない。 ...
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