「それで、私達はこれからここで修行すると、そういうわけですか」<br><br>「そういうわけです」<br><br>巨木の木陰の下で、人間大に小さくなったフェンリルの毛皮をモフりつつ、俺はアリーヤの質問に適当に相槌を打つ。<br><br>「...... この服は、どういう事なのでしょう」<br><br>「お前ドレス着たまま脱出したろ。 ドレスのままじゃ修行にならんから、どうせならと鎧にした」<br><br>「ドレスを鎧にする、その発想から意味が分かりません」<br><br>しかし女物の服など、俺は持っていないからな。 服があるなら鎧にするのは、当然の発想だろう。<br><br>やったことといえば、《武器錬成》でアリーヤのドレスを闇硬化して、動きやすいように余計な布をカットしただけなんだが。<br><br>結果として露出が増えて、ゴスロリっぽくなったのは俺の趣味ではない。<br><br>「私は具体的に何をすればいいのでしょう」<br><br>「とりあえずその体に慣れろ。 話はそれからだ」<br><br>そう言うとアリーヤは自分の体を眺め始める。 まあ、『天才』なんて加護も持ってるから、慣れるのにそう時間はかからないと思うが。<br><br>しかしアリーヤはゴスロリが似合うな。 良いコスプレイヤーになれるぞ。<br><br>「修行が終わったら、どの国へ行くのでしょう」<br><br>「あー......、特に決めていないな。 とりあえず勇者召喚が行われていない国に行こうと思うんだが」<br><br>「え?」<br><br>「ん?」<br><br>何か変なことを言っただろうか。 勇者に会うのは色々面倒くさそうだから、という当然の論理なのだが。<br><br>「勇者召喚していない国なんてありませんよ?」<br><br>「へ?」<br><br>元宰相が、この国が勇者召喚した事を嘆いていたから、召喚していない国も有ると考えていたのだが......。<br><br>「待て待て、人間の国っていくつ有ったっけ」<br><br>「全部で十二ですね」<br><br>「それが全部?」<br><br>「ええ」<br><br>「多くない?」<br><br>「勇者軍というくらいですから」<br><br>つまり、12×3で36人の勇者が召喚されている訳だ。 うむ、なんというか。<br><br>...... 勇者が、めっちゃ召喚されている件。
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