このダンジョンは実質ゲームのチュートリアルを兼ねているため、死亡リスクこそほとんどないが、隠し扉や謎解きなど、時間のかかる仕掛けがそれなりにある。 全てのネタが分かっている俺なら、すぐに追いつける、と踏んでいたのだが......。(次の部屋にいなかったら、あと残ってるのは最深部......。 封印の間だけだぞ) 俺が内心の焦りを押し隠し飛び込んだ部屋は、やはりもぬけの殻だった。「くそっ!」 俺は思わず悪態をつくが、部屋には戦闘の跡が残っている。 ついさっきまで、誰かがここで戦っていたのは間違いない。(本当に速すぎる! もしかして、「イベント」の結果は人の意志じゃ変えれないのか!?) 浮かび上がった可能性を振り切るように、俺は全力で床を蹴る。 日本にいた頃では考えられないほどの速度で曲がりくねった通路を踏破して、広けた場所に出る。(いた......!) 目に飛び込んできたのは、壁一面におどろおどろしい壁画が描かれた大きな部屋と、その奥に佇む少年少女たち。 そしてその一番奥で、二人の少年が、今まさに封印に手を伸ばしていて......。「――やめろぉおおおおおおおお!!」 声の限りに、叫ぶ。 だが、俺の警告は、間に合わなかった。 少年たちは俺の叫びに驚きこそしたものの、その手はしっかりと封印に触れていて。 古き悪魔が封印された扉。 その、資格持つ者に触れられた封印は......。 封印、は......。「............ あれ?」 ...... 特に、何も変化がなかった。「な、なんで......?」 俺の疑問に、答える声はなく。 ただ気まずい沈黙だけがその場を支配して、少年たちの完全に痛い奴を見るような鋭い視線が、俺を貫いたのだった。
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