甘い陶酔境の中、恍惚感に揺られながら目覚めた。
ロクサーヌの肌と産毛が心地よい。
なめらかな手触り、程よい弾力、腕に押しつけられる確かな重み。
思わずのしかかりそうになって、自重する。
い、いかん。
そういえば色魔をつけていたのだった。
まあロクサーヌが腕の中にいれば、色魔をつけていなくても襲いかかりそうになるだろうが。
俺が起きたことに気づいたロクサーヌが、自らキスしてきてくれる。
こんなことをされると誘っているようにしか思えない。
俺が命じたこととはいえ。
柔らかな唇が接触し、湿り気のある吐息がかかった。
お、落ち着こう。
落ち着け。
大丈夫だ。
すぐに今夜は来る。
昨夜は色魔をつけた。
さすがに四人相手に色魔なしでは少し大変だ。
しかし色魔をつけると、四回では物足りない。
悩ましい問題だ。
もっとも、余裕があるところを見せておくことも大切だろう。
将来のために。
まだまだメンバーが増えても大丈夫だと分からせるために。
物足りないくらいがちょうどいい。
足りない分はロクサーヌの舌をねぶって補充する。
あやすように動くロクサーヌの舌に追いすがり、吸いついた。
なめ尽くす勢いで絡ませる。
心ゆくまで味わってから口を放した。
「おはようございます、ご主人様」
「おはよう」
ロクサーヌを解放し、次はセリーへ。
まだまだ愉悦は終わらない。
小さくて可愛らしいセリーの口もたっぷりと堪能して、唇を離す。
少し待つと、ロクサーヌと場所を入れ替わったミリアがキスしてきた。
部屋の中はぼんやりと薄暗いが、ミリアなら自在に動ける。
奔放に動くミリアの舌を楽しむ。
じっくり絡ませあってから、口を放した。
「おはよう、です」
「おはよう」
ミリアが終わって少し待ったが、ベスタはキスしてこない。
あれ、どこにいる。
ベッドは、二つ重ねて倍の広さにしているので、十分な大きさがある。
ベスタが入っても余裕がある。
風呂桶の方は、ベスタも入るとさすがに狭かった。
芋を洗う状態だ。
ロクサーヌやベスタとお湯の中でべったりくっついて。
もちろんそれがいい。
ベッドの中でベスタがいるだろう辺りにゆっくりと腕を伸ばす。
まだ寝ているんだろうか。
いた。
ここだ。
「つめた」
身体に触れ、手を引っ込める。
裸で寝ているベスタの身体が冷たかった。
ひんやりとしている。
え?
生きてんの?
まさか。
死んだ?
「竜人族だから、朝は冷たいはずです」
「そうなのか?」
「はい」
セリーが教えてくれる。
「……おはようございます、ご主人様」
「おはよう」
「すみません。朝は少し弱くて」
ベスタも起きたようだ。
ちゃんと生きている。
「身体が冷たいけど、大丈夫か」
「はい。温度が高い日は、夜の間に熱を失って冷たくなります。目覚めればやがて温かくなるので大丈夫です。逆に温度の低い日は、寝ている間にこごえたりしないように身体が熱くなります。朝になると疲れてぐったりするほどです。竜人族は深夜早朝は弱い種族なのです」
竜人族というのもなにかと大変らしい。
単に中二感溢るるかっけー人たちというわけではなかった。