グレイトキース城から戻り、夕食を終え俺は部屋で一人修行していた。 フリアエさんは、気分が悪いと言って部屋に籠っている。 様子を見に行ったが、入ってくるなと言われた。 さーさんとルーシーは、宿に戻ってきてからまだ会っていない。 俺は、水魔法で小さな猫を作って、黒猫ツイと遊ばせていた。「高月くん」 ノックをして入ってきたのはさーさんだった。 ――入ってきた瞬間、突風が吹き荒れたような、錯覚を覚えた。「今いいかな?」「あ、ああ...... うん、大丈夫」 そう言いつつ、俺は少しさーさんに気圧されていた。 外見は変わらない。 いつもと同じ人間の女の子の姿。 ふじやんの言葉通りなら、レベルは1に戻っているはずだ。 にもかかわらず、魔王や古竜を前にしたような圧倒的な格上感を感じた。 なんだろう...... 凄みが増したというか。 これが、進化?「どうしたの? 高月くん、変な顔して」「いや、なんでも。 そういえばルーシーは?」 俺は誤魔化すように言った。「なんかね、ふーちゃんが元気無いからって見にいったよ」「そっか......、確かに昼から元気が無かったような」 本人曰く、未来視を使ったら精神力を多く使うから疲れるんだと言っていた。 ただ、かなり顔色が悪かったし心配だ。 その時、さーさんに手をぎゅっと掴まれた。 ひんやりとした感触が、脳に伝わる。「ねぇ、高月くん。 これから二人で出かけよう」 悪戯っぽく笑ったさーさんが、俺の手を引いて窓の外へ飛び出した。(って、おい。 ここ3階なんだけど!) 俺とさーさんは、空中に身を躍らせた。
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