第二十一話 冒険者予備校。
「これより、冒険者予備校の入学式を開始します」
父の妾の父親でもある名主クラウスから、バウマイスター家の次期当主になって欲しいと言う、おかしな要求をされてから一年。
ようやく十二歳になった俺は、実家を出てブライヒブルクにある冒険者予備校へと入学を果たしていた。
思えばこの一年間、俺はクラウスからの度重なる勧誘をかわすのに傾倒する羽目になっていた。
何でも、俺にその気があれば他の支持者と一緒に父を説得すると言って俺に決意を促していたのだが、俺からすれば、何が悲しくてあんな僻地の領地を継がなければいけないのであろうか。
それに、前世はしがない二流商社の平社員であった俺に、領地の運営など不可能である。
中身の人格に、貴族の義務とか責務といった殊勝な心がけは存在していないし、あの小さな領地からある程度自由に生活できる糧を得る労力があれば、俺が個人で魔法を駆使して冒険者をやっていた方がよほど金にもなる。