大好きな黒崎くんに、大好きな優しい声で、そう言われた。 遠くの大学に行くって言ったその口で、そう言った。<br><br>黒崎くん、違うよ、その好き。 好きって、そんなに綺麗な顔で、そんなに清々しい声で言えないような、なんかもっと苦しいものだよ。 きっと黒崎くんは、感傷的になってるだけ。 朽木さんと離れてしまったのに、更にみんなと離れてしまうのが寂しくって、それでなんとなくよく一緒にいたあたしのことを好きだって勘違いするようになってしまっただけ。 やめてよ、あたしを身代わりにしないでよ。<br><br>せっかくいなくなっていた汚いあたしが、わっと顔を出した。<br><br>そこからは、もうよく覚えてない。 あたしは黒崎くんを振り切って、走って走って走ってる。 がむしゃらに走って、マンションの階段を駆け上がって、そこで、ようやく気付いた。<br><br>「かばん、置いてきちゃった......。 」<br><br>鍵も何もかも、かばんの中だ。 あたしは荒い息のまま、ずるずるとドアの前に座り込んだ。 そして、抱えた膝に顔を埋めて、少し泣いた。 ...
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