「そ、そうですわよね。庶民が王族に嫁げるはずありませんものね」<br><br>「はい、こんなつまらないイジメでエレノーラ様にケチが付いてはいけませんからね。派閥の方にアリシアさんに何かしないよう言い含めておくことをお勧めします」<br><br> アリシアのイジメを再開しないように釘を刺しておく。<br><br>「ええ、もちろんですわ。でも、なぜあなたはそんなことを教えてくださるの?」<br><br>「私もアリシアさんのことは良く思っていないので。彼女をイジメても殿下が庇って仲を深めるだけですからね。あ、私は殿下に良く思われていないので、今日会ったことは内密に」<br><br> アリシアへのイジメを止める、実行犯の彼女を庇う、エレノーラが私に関わらないようにする、エレノーラがチョロすぎたので目的を全て達成することができた。<br><br> 私は上機嫌でサロンを後にしたのであった。<br><br><br><br><br>「ユミエラにしては珍しい」<br><br> 事の顛末を全て聞いたパトリックの反応だ。珍しいとはどういうことだろうと思っていると彼は続ける。<br><br>「いつものユミエラなら、その実行犯の彼女を殿下に突き出して終わりにしそうだと思ったんだ。イジメを止めることはできるし、そもそもエレノーラは殿下に嫌われているお前と関わろうとはしないだろ?」<br><br> 確かにそうだ。私は何であんな回りくどいことをしたのだろうか?<br><br><br>「あれは、実行犯役の彼女は、私だったかもしれないから」<br><br> 本来、アリシアの物を隠すのは私の役回りだった。<br><br>「どういうことだ?」<br><br><br>「もしも、闇魔法が使えることを隠していて、レベル上げもしていない私がいたとして」<br><br> ゲームのユミエラのことだ。彼女はおそらく……<br><br>「そんな私は、会ったこともない親に他の貴族と仲良くなるように言われて、必死になってエレノーラの派閥に入れてもらって」<br><br> そこでの私は1番下っ端であろう。誰もやりたがらないことをやらされるくらいに。<br><br>「それで、イジメの実行犯をやらされて、それがバレたらエレノーラに切り捨てられて」<br><br> ゲームのユミエラに味方はいたのだろうか。<br><br>「誰も味方になってくれなくて、親が憎くて、エレノーラが憎くて、そして何より光魔法を使えて殿下たちから愛されるアリシアが憎くて」<br><br> 光魔法の彼女と闇魔法の私。愛される彼女と愛されない私。
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