第十六話 ボッチを極める。
「おい、あの子は確か……」
「お館様の八男で、確かヴェンデリン様だったような……」
「何をしているのかな?」
「さあ? うちは、子供でも貴重な労働力なんだがな。噂によると、あまり働き者の気質は持っていないらしい」
「お館様のお子だからなぁ。迷惑にさえならなければ問題ないべ」
長男クルトと次男ヘルマンが結婚し、他の兄さん達が家を出てから一ヵ月後、俺は一人領内のまだ開墾の予定すら立っていない平原を走り抜けていた。
途中、農作業に向かう農民達が俺の事を噂してるのが聞こえる。
内容が、『家の手伝いもしない、我が侭な末っ子』と言うのはとっくに理解している。
いや、敢えてそうなるように父や長兄クルトが流していたのだ。